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1999年4月の日記


1999年04月28日(水) 今日も大忙し (がみがみ)


協会は社団法人で会員の方々に運営を支えていただいているので、年に1回総会を行い、
事業報告や会計報告をし、次年度の事業計画、予算についての承認を得ることになる。
総会の後は、毎年記念行事を行うのだが、今年は映画「秘密と嘘」の上映を予定している。
若い頃に顔も見ずに養子に出した娘が成長し、実母を訪ねてくる・・・という話で、
一昨年に上映されたものである。記念行事も行うので、
総会の案内は会員さん(購読会員をのぞく)だけでなく、協会と関わりのある里親さん、
児童相談所等の関係機関や近畿圏の施設等々にも送付する。その数1900通あまり。
今日は一日、その発送作業に追われた。会員さんには、総会の案内と一緒に、
会費納入のお願いも同封するので、これから続々と会費を振り込んでいただける。
毎日、束になって届く郵便振替用紙に書き添えられている「ひとこと」に励まされながら、
領収書書きに追われ、うれしい悲鳴をあげる日々が始まる。

1999年04月26日(月) 委託後の家庭訪問 (うとうと) 


きょう、11カ月のS子ちゃん引き取って2週間の里親さんの所へ
児童相談所のワーカーと一緒に、家庭訪問へ行って来た。
S子ちゃんは乳児院では「おっとりした子」と保母さんから言われていたが、
里親さんと出会い愛着関係ができつつある現在のS子ちゃんは、
はっきりと自己主張する甘えん坊に変身していた。
身体のどこかが里親さんにふれていないとたちまち大泣き。
家事がさっぱりできなくなった里親さんは、近くに住むお母さんに助けを求めている。
乳児院にいた頃からS子ちゃんは可愛かったが、里親さんの家に来て、思いきり泣いたり、笑ったりし、
そのたびに里母さんをはじめ多くのおとな達からたくさんの反応をもらえることで、
ますます可愛くなっている。いつもいつも感じる。「愛されること」のすばらしさを。
人はたくさん愛してもらってこそ、他者を愛することができるのだろう。
里母さんはすでにもう2キロ体重が減ったという。
「夜もS子に蹴られたりして、ろくに眠れません」と言いながら、その笑顔はなかなかステキだった。
これからがますます大変だけど、新米ママさん頑張れ!

1999年04月20日(火) 協会台所事情 (がみがみ) 


平成10年度の決算書と平成11年度の予算書がようやく完成。
10年度の歳入の合計は2800万円あまりだが、そのうちの18.6%を会員さんからの会費で、
44.4%を寄付金で支えてもらっている。
行政からの委託金、補助金は大阪府市あわせても7%ほどにしかならないし、
大阪市からの週末里親事業の委託金を加えても20%弱というところだ。
 特に、大阪府は赤字財政らしく、今年度は前年より補助金が3割もカットされてしまい、
うちの歳入にしめる大阪府の補助金の割合はわずかに2%となってしまった。
結果、例年通り、予算の方でも6割以上を会費と寄付金に頼ることになる。
会費の方は、会員の方が継続して援助して下されば・・・というので、
ある程度の確実な収入が見込まれるのだが、寄付金は世の中の景気にも大きく左右されてしまう。
不況の中、それでも昨年度は多くの方から支援をいただけたのだが、今年はどうなることやら・・・。
その「どうなることやら」に、歳入の4割を頼らねばならないわけで、
あいかわらず「つなわたり状態」の協会である。

1999年04月17日(土) 週末里親懇談会のこと (まじまじ) 


大阪市の週末里親懇談会を開催した。
今回はミニシンポジウムの形をとり、施設の週末里親担当の先生方にシンポジストをお願いした。
テーマは「施設が週末里親に期待するもの」。
まずシンポジストから10分づつ、週末里親に行っている子どもの事例や失敗事例などの発表があった。
その中で「施設と違った形で子どもを受け入れてほしい」「普通の家庭のモデルを見せてほしい」
「人間関係の学習の場であるので夫婦喧嘩も見せてほしい」といった意見があがった。
その後、里親さんとの意見交換では、
里親さん側から「食事のマナーなど施設ではどうしているのか」
「子どもたちは怒られ慣れているようだけど・・」
「週末里親宅の子どもとの関係について」などの意見が出され
施設と普通の家庭の違いを改めて考え直すきっかけとなり、活発な話し合いとなった。
子どもとはいえ1人の人間を責任をもって預かってくださっており、
その中でいろいろと苦慮されているようであるが、自分に関わってくれる大人ができたことで、
子ども達は幼稚園で自信をもってふるまえるようになったり、
大人に添い寝を求めるようになったり、里親宅に自分の居場所をもてるようになったりしている。
里親さんと子どもたちがいい形でやっていけるよう、施設とのパイプ役でありたいと思った。


1999年04月16日(金) 統計から思うこと (けたけた)


5月22日に行われる、協会の年次総会に向けて、昨年度の協会活動の統計をしている。
昨年度愛の手に掲載された子どもが何人いて、そのうち何人、里親さんにお願いできたか、
里親さんを決められずに、施設で生活している子どもたちが何人いるかが、
これを見ると一目瞭然に分かる。
統計の仕事はややこしく、頭の痛い仕事ではあるが、昨年度決められなかった子どもたちに、
新しい家庭を探さなければ、と決意を新たにする仕事でもある。
統計では、そのほかにその年掲載された子ども達にどれだけの問い合わせがあったかも分かる。
昨年度は301件。平成3年度は、431件、平成6年度は515件である。
過去数年からみても、昨年度は最低であった。
今年度も子ども達にとって、よりよい家庭を探せるようにがんばらなくっちゃ。

            
1999年04月12日(月) 松本に行って来ました (うとうと)


4月10〜11日、「わさわさ」と一緒に、長野県松本市の養親の会に呼んでいただき、行ってきた。
協会でお世話した「愛の手」の子どもたちの何人かに、久しぶりに会えて嬉しかったし、
初めてお会いする養親さん方とも楽しくお話ができた。
みなさん、ほしくてほしくてたまらなかった子どもを得て、宝石のように大事に育てておられる。
10日の午後に着いてすぐに、養親Iさんの家に家庭訪問へ。
その夜は養親の会の方々と一緒に食事会。
11日の午前中は「わさわさ」の講演を中心に座談会。あっと言う間の2日間だったが、
北アルプスの麓での充実した語らいに、私はエネルギーをいただいたように思う。
子どもが大きくなるにつれて、養親さん達の悩みも増えていく。
いつも一緒に考えていくことのできるワーカーでありたいと改めて思う。


1999年04月09日(金) ふしぎな縁 (がみがみ)


四国のとある県に住む、里親のFさんから聞いた、ちょっと不思議な話。
Fさんは、3歳のKくんを引き取って、ようやく2カ月が経過した。
Kくんの引き取りの時に渡された母子手帳を見て、Fさん夫婦はびっくり。
Kくんが生まれたのは、Fさん夫妻の住む県の大学病院だった。
しかも、Kくんがその病院で誕生した、ちょうどその日、里母さんのFさんも不妊症の治療のために、
同じ病院に入院中だったのだ。
Kくんの実母と、Fさんとは、産婦人科の主治医まで同じだったとか。  
3年後にこんな風に出会うことになるとは・・・。「縁」とはふしぎなものだなぁ。
 「うちに来るために、Kくんは生まれてきたみたい・・・と思うと、引き取り当初の大変な時期も乗り越えられちゃいました」と里母さん。
「こじつけ」かもしれないけれど、「出会うべくして出会ったおやこ」のように、私も思う。
私たちが、人為的に「おやこの組み合わせ」を決めているように見えるけれども、
こんな話を聞いたりすると、もっともっと大きな「力」に動かされて、
新しいおやこが生み出されているような、そんな気持ちになる。

1999年04月06日(火) 保育園の楽しみ (けたけた)


引き取られて2年7カ月、3歳半になるTちゃんの養母さんから電話がかかってきた。
Tちゃんは、今日で保育所3日目。
入所式では、園長先生の話の時にステージの前まで歩いていき、
止めようとした担当の保育士さんが、「Tちゃん」と呼ぶと「はーい」と大きな声で返事。
「どこの子かしら」という声にたまりかねた養母さんが、たしなめようと小声で名前を呼ぶと、
「お母さん、なあに〜」とまたまた、大声。
「お母さん方にも、先生方にも顔と名前、ばっちりおぼえられてしまいました。
はずかしくて」と言いながら、どことなく嬉しそうな養母さん。
 保育所でのTちゃんの一番の楽しみは、給食とおやつの時間。
養母さんがお迎えに行くと、「Tちゃんは、誰よりも早く、おいしそうに食べてます」と言われたそうです。
さらにTちゃん、帰る時に明日のおやつはなにか、しっかり聞いてくるそうです。
 「今日のおやつはホットケーキだって・・・と行って、ご機嫌で出かけました」と養母さん。
「給食やおやつが楽しみでもいいんです。元気に毎日行ってくれれば」という養母さんの言葉に、同感。

1999年04月05日(月) Mちゃん母子来訪  (がみがみ)


引き取られて2年4カ月、4歳半になるMちゃんがお母さんといっしょに事務所に遊びに来てくれた。
ひょうきんもので天真爛漫、ほんとに子どもらしいMちゃんは、見ているだけでこちらも楽しくなるようなキャラクター。
養母さんも楽しい方で、「この親にしてこの子あり」という感じだ。
Mちゃんの幼稚園の記念アルバムを見せてもらったら、「お誕生カード」が綴じ込んであった。
カードの初めに「Mと名付けたのは・・・」と、命名の由来、想いを親が書くページ。
「こんなん書かんとあかんのですよ。いろいろ考えたんです」と養母さん。
それでも、「親の想い」がかいま見えるステキな文章が書いてあった。
小学校の性教育などでも、「生まれた時の話を親に聞いてくる」だの、「赤ちゃんの頃の写真を持ってくる」だのの課題が与えられるようで、里親さんや養親さんは頭を悩ませている。
「いろんなおやこの形がある」ことを学校の先生も理解してくれはったらいいのになぁ。


1999年04月2日(金) T君の卒業式 (うとうと)

みんなで昼御飯を食べていたら、Iさんが娘さんといっしょに来てくれた。
Iさんは4年前からT君の週末里親をしてくださっている。
この日はT君の小学校卒業式。Iさん母子はスーツ姿。卒業式に出席したのだという。
T君は「来てもええで」と恥ずかしそうに言ったそうだ。
4年の間に背もぐんぐん伸びて、T君もいよいよ新中1。いろいろなことがあったねと、40分ほどみんなで話し合った。
T君は月に1回ほどの外泊をIさん宅でし、時折旅行にも連れて行ってもらっていた。
その積み重ねのなんと大きなこと!