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1999年12月の日記

                     
1999年12月27日(月) 年の瀬に寄せて (まじまじ)


今日で、年内の業務は終了となる。この数年は不況の影響か、委託数が低迷している。
もちろん、数が重要なわけではないのではあるが、
待たせている子どものことはきがかりだし、再掲載されて決まらないと辛い。  
しかし、私達から見て事情が複雑で、
なかなか決まらなかった子どもが決まるというような嬉しいこともあった。  
協会の今年の3大ニュースは何か、と考えてみた。  
第1位.ホームページを開設した。   
第2位.ふれあい文庫『養子たちからのメッセージ』発刊。   
第3位.10数年ぶりの職員旅行。  
職員旅行は、個人的には1位といったところだが、3位が妥当かなと。  
来年もいい年でありますように・・・。

  
1999年12月20日(月) T子さんのメッセージ (うとうと)


18日の土曜日に「養子からのメッセージ」を開催した。
今年は21才のT子さんに来ていただいた。
T子さんは、自分が養子であるということへのこだわりはほとんどないと話され、
むしろ、養父さんから進路を反対されたことによる反発を、高校生の頃にたっぷりしたという。
それはなかなかで、学校へは行かない、髪を赤や青に染める、たばこは吸う、酒は飲む、等々。
それでもT子さんは、学校のテストだけはまじめに受け、成績はそこそこよかったのだという。
だから、親には学校へ行っていないことはばれてなかった。
現在のT子さんはとてもステキな女性である。
これまでのことをさばさばと明るく語り、T子さんのことを心配なあまり、
あいかわらず過干渉の養父さんのことを、今では「弟のように思っています」と語った。
そして、「愛情から出ていることは承知しているが、
思春期頃からは、親は子に対して一線を引いて関わってほしい」と締めくくられた。
参加した養親さんたちは33名。皆さん真剣にT子さんの話を聞いておられた。
実体験は重い。  T子さん、お話してくださってほんとうにありがとう!

 
1999年12月14日(火) 北国からの便り (うとうと)


今日、山形の里親さんから立派なりんごが1箱届いた。
5才のyちゃんが描いてくれた私の似顔絵3枚と、手紙が同封されており、とても嬉しかった。
以前家庭訪問に行った時に、一緒に遊んだことをよく覚えていてくれたようだ。
養親さんたちと手紙のやりとりはよくするが、
これからはぼちぼちと、字が書ける子どもたちが増えていくだろう。
子どもの手紙は実に楽しい。
意味不明のようでいて、なかなか深かったり、
「あらま、あの時のことをあんなふうにインプットしてるんだなあ」と驚いたり。
子どもたちは私たちのことをどんなふうに思っているんだろうな。
そのうちにだんだん判っていくんだろうな。


1999年12月09日(木) かわいいよね (けたけた)


先日、まじまじと一緒に委託後の家庭訪問に出かけた。
出かけた先は、生後3カ月すぎのTくんのお家。
3カ月を過ぎたTくんは首も座ってきて、細面だった顔がまんまるになって、健康そのもの。  
引き取った当初は、Tくんが何で泣いてるのかまったくわからずに、ただおろおろして、
「こんなはずじゃあ・・・」と思ってしまったという里母。
3カ月たった今では「楽しいです!!」と嬉しそう。
「かわいいよね、うちの子。かわいいよね」と親ばかぶりを発揮する里母。
「そんなこと、言ったら・・・」と言う里父も、目尻はさがりっぱなし。
里父は昼休みには、Tくんの顔を見に必ず家に戻ってきて、
夜はTくんをお風呂に入れ、子育てをバトンタッチ。里母は安心して眠れるらしい。  
引き取る前の里父の心配は「妻が育児ノイローゼになるんじゃないか?」だった。
「夫の協力がなかったら、きっとイライラしてた」と里母。
双方の祖父母も毎日のように顔をだすとか・・・。
訪問の間中、にこにこと愛想良しだったTくん。
夫妻の「助け合い」がTくんをこんなに幸せな顔にしてるのかもしれないなあ・・・と嬉しくなった。


1999年12月03日(金) 神さまの子ども (がみがみ)


3才で引き取られたTくんは今、小学校1年生。
自分が施設で生活していたことは、もうおぼろげな記憶になっているが、
養子であることは、しっかりと理解している。  
この間まで、Tくんは、「ぼくは**園(Tくんのいた乳児院)の、
**のお姉ちゃん(Tくん担当の保母さん)から産まれて、
お母さんのところに来た」と話していたらしい。けれど、最近、こんなことを言い出した。
「**のお姉ちゃんから産まれたにしては、**のお姉ちゃんは若すぎるなぁ。
それは、おかしいなぁ。ぼくは、きっと神さまから産まれたんやな。
神さまが、お母さんとお父さんのために、ぼくを産んでくれたんやな」。
小学校にあがってから、いろんなことが分かり始め、
Tくんなりにいろんなことを考えている様子が伝わってくる・・と養母さん。
「神さまから産まれた」なんて言ってるのも、今のうちかもしれないけれど、
「お父さんとお母さんの大切な子ども」ということは、きっとTくんに通じているんだろうなと思う。  
とにかく、やんちゃで、いつも大声をあげて後を追い回している・・と、養母さんは苦笑い。
あんまり叱りすぎると、最近のTくんは、
「そんな怒ってばっかりで!お母さんは、ほんまに僕が欲しかったんか!!」
と反撃(?)するらしい。
養母さんは少しもひるむことなく、
「Tくんが大切やから叱るんやろ。いらん子やったら、ほうっておくわ」と応えているそうな。
Tくんだって、きっとそう言ってもらえることを期待してるんだろうなぁ。